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【感想・考察?】ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ【3/24昼・東京3日目】

奇跡的に取れた当日引換券で急遽参戦しました。

考察したり神頼みしたり忙しかったですがギリギリのところでなんとか観ることができて本当に運が良かったというか、ありがたい限りです。

 

というわけでネタバレ容赦なし、考察(?)しつつの好き勝手書きますがご了承いただける方のみ御覧ください。

 

ちなみに前回の考察らしきものはこちら。

 

edgarsakura.hateblo.jp

 

※資料追加

tabinaga.jp

 

 

答え合わせ的なことも少しだけします。

 

 

 

 

Twitterまとめ

 

 

【感想】1部

今回の編成はこの6口。

歴史上の人物は主にこのあたり。

 

簡単に言うと。

しんっっっっっっっっっっっっっどかったです。

滝のように泣きました。

 

流れとしては歴史人物キャスト中心に人間サイドの歴史から始まって、本丸に戻って主と会話→編成、出陣という割と定番になりつつある流れ。

 

出陣先は「島原の乱」。

正直、題材とかキャラに関しては予想通りの部分も多かったからあまり驚いたということはなかったです。

が、予想の10倍か20倍くらいエグかった。

 

天草四郎が時間遡行軍に殺される→島原の乱が起きない、という歴史改変が行われてしまったのを目の当たりにした刀剣男士たちが歴史を守るためにわざわざ戦争(島原の乱)を起こさなければならない状況に置かれるところでもうしんどい。

 

歴史を守るためとはいえ、人間相手にそんなことしていいのか?という会話もありますがここでもとにかく鶴丸が憎まれ役というかなんというか、残酷なことを命じる部隊長という役回りに徹しているのが三日月のポジションとかぶって辛い。

 

それから天草四郎に「成り代わる」ことで島原の乱を起こさせることにした鶴丸が取った行動が、自分と日向と浦島の3人がそれぞれ「天草四郎」として領民を集め、一揆軍を形成しようというもの。

 

ここでの合言葉は「パライソ」。

作中では「パライソに行くために仲間になろう」という風にしか歌われていませんが、これは史実として言われている「島原の乱一揆軍は皆、キリスト教徒または改宗して参加した」という話のこと。

宗教関係の話だからか、寺を焼き討ちするシーンがあったりしてもセリフとしてはあまり盛り込まれていなかったような感じです。

浦島くんが仲間に質問するという形で要所要所用語解説や事実関係の確認はありますが、基本的にはこのあたりの歴史を知っていたほうがスムーズに理解できるような感じです。

話がそれましたが、そういう方法ででっち上げた「天草四郎」のもとに集った民衆を蜂起させて島原の乱を起こし、それが鎮圧されるところでおおよそ話は終わる、というような流れでした。

 

この間にあるいろんなドラマが全部しんどかったので、伏線も含めてポイントごとにピックアップします。

 

まずパンフバレになりますが今作は「敗者の歴史」がテーマだそうで、負とされるような歴史の一面にも光を当てようという考えで書かれているとのこと。

それを踏まえていただくとわかりやすいかと思います。

浦島虎徹と子どもたち

浦島くんと交流を持つ子供二人がキーマンでした。

二人は兄弟で、母親が「一揆に参加しなかった」ことを理由に殺されてしまい、兄が弟を守るという形で助け合って生きているというもの。

この兄弟はやはり史実の「女子供関係なく、また実際の意思に関わらず改宗させられて参加させられた」という、ただ一揆が有志による闘争だったわけではない負の側面を反映した象徴的な存在でもありました。

 

弟の「パライソに行けばおっかあに会えるの?」という問いに悪気なく、というかパライソの意味をきちんと知らずに「天草四郎」役を命じられた浦島くんが「パライソにいこう」と誘うのはあまりにもしんどい。

 

浦島くんは途中でパライソの意味を知って自分を責めたり兄弟への思い入れを強めていくんですがこれもやっぱり鶴丸には怒られる。当然といえば当然ですが、入れ込みすぎるなという助言はまさにそのとおりで、結局傷つくことになってしまった……という悲しい話。

 

ちなみに兄は最後の最後、原城総攻撃で弟を守って死に、鶴丸によって掛けられたロザリオから「天草四郎」として歴史に名を残すことになります。

 

というか「兄弟」を浦島くんにぶつけるのあまりのも酷でした。

自分が弟である彼が「兄が弟を守って死ぬ」場面を目の当たりにするって……。

きっと虎徹の兄たちはそうするだろうとも言えるからこそあまりにもつらくて、声を上げて泣く姿もまっすぐで胸が苦しくなりました。

 

日向正宗と「天草四郎豊臣秀頼の忘れ形見」説

これは有名な話ではありますが、天草四郎にはこの一揆の起きる少し前にあった大坂の陣で滅んだ豊臣秀頼の忘れ形見、という節があって、日向くんが演じた天草四郎はこの話を利用したもの。

ここで日向くんにその説を与えたのは山田右衛門作

山田右衛門作島原の乱唯一の生き残りとして知られる人物、だそうです。

彼については後ほど。

今の歴史では諸説のひとつとして眉唾もの扱いのエピソードがある時代、ある地域においては絶大な信憑性を持つという視点や、それを信じる人と信じない人の対立という集団心理を描いていたのが生々しかったです。

ここでも強調されるのは歴史の負の側面でした。

松井江のトラウマ、そして「血」への執着

松井江は血にこだわるキャラですが、その理由が割とはっきり描かれていたのは意外でした。

とはいえ今回のキーマンのひとりは松井江。

そもそも松井江がキリシタン弾圧を「行った」側、つまり幕府側の刀であることが編成理由になっています。

そして弾圧の際に行った戦闘でたくさんのキリシタンの血を吸った刀が松井江であるとも。

そういう経緯で血に執着するようになった松井ですが、そのためにキリシタンを斬るのをためらったりと何かと「様子がおかしい」。

 

鶴丸は今回の編成にあたって、松井江の記憶を頼りに行う任務としていますが実際はむしろトラウマ克服だったようです。言ってしまえば「幕末天狼傳」の新選組メンバーと似たような感じ。

鶴丸豊前の二人で松井江について話すシーンでは鶴丸に対して感謝を述べる豊前江ですが、それも「いつか向き合わなければならないことだから」というもの。

豊前にとっては松井がトラウマとして抱えている「血」の記憶は今回の任務で克服すべき課題であると同時に、鶴丸にとっても松井のその「弱さ」は早めに対処したいという利害が一致していたようにも取れました。

鶴丸は自分が憎まれ役を引き受けているという認識だったからか、豊前の兄貴肌からくるそうした気配りや発破が意外だったようで、そういう意味では三日月のことを思って背負いすぎる鶴丸にとって、そして松井や他の男士たちにとってもはっきり助言できる豊前江は今後も背中を押す存在として影響し続けるのではないかと思います。

 

鶴丸に「刀剣男士、やめるか?」とまで言われた松井江ですが、結果的には刀剣男士としての覚悟を得るというか、鶴丸の言葉の厳しさの裏にあるものに気づいたというべきか、克服したような描写で終わりました。とりあえず一安心、なんでしょうか。

でもまだこの不安定感が松井江の持ち味にもなりそうなので、こういうトラウマに関しては生かさず殺さず……という状態でもいいのかなと思ったりもしました。

 

山田右衛門作と「背負う」ということ

山田右衛門作は劇中で天草四郎の付き人として登場する、本業は絵師です。

有名な陣中旗を描いた人物でもあります。

※リンク先に載ってます。FGOの礼装になってたりもします。

www.amakusa.tv

 

史実同様、島原の乱の首謀者のひとりとして(天草四郎に次ぐ副大将)捕らえられますが、結果的に生き残り3万7千人が皆殺しにされてしまったこの島原の乱を背負うものとして生かされます。

 

劇中では鶴丸(=天草四郎)に捕らえられて、「長生きしろよ」(低音)とまで言われる始末。

史実では妻子が人質に取られていたという話もあるようなので、全くこの人だけが悪いなんて話はないんですが劇中では暴走した首謀者のように描かれていた印象。

鶴丸に思いの丈を吐露しようとすれば「1人で背負え」とも。

 

結局鶴丸山田右衛門作に与えられた「背負う」という形での罰と三日月宗近の「背負う」こと、そして自らが憎まれ役になろうとする「背負う」ことを重ねていて。

共有することで楽になろうとするのを許さない、またそれが許されない立場であることを明確にするようなシーンでもありました。

何より三日月宗近に対しての「なぜ1人で背負うんだ」という問いかけが多分に含まれていたように思います。

三日月はこれからどうやって出てくるつもりなんだ……。

ちなみに村正と蜻蛉切は修行に出た扱いでした。極になるのか。どうなのか。

「静かの海」と三日月宗近 ※04/05追記

書きそびれていたので追記です。

実は先述した鶴丸のシーンでタイトルの「静かの海」と三日月宗近に関する言及があります。

kotobank.jp

ご存じの方も多いとは思いますが、「静かの海」というのは人類が初めて辿り着いた月の地点です。

日頃、夜空に見える月の表面にある場所なので、地球に面した場所というか、地球からも目視できる部分です。うさぎに見立てたときの顔とも言われたり。

海といっても水があるわけではなく、岩肌の平地だそうですが。

鶴丸三日月宗近のいる場所を「静かの海」と表現します。

これを比喩と取っていいのかそれともそういった仮想空間があるのかは断言出来ませんが。

もっとも、脚本家である御笠ノさんのTwitterではこちらが上がっていたので、ダブルミーニング(あるいはそれ以上)というのが妥当なところでしょうか。

そういえば……この前の秋のことですが、三日月役の黒羽麻璃央くんが、鶴丸役の来夢くんに(おそらく演出の茅野さんから)「是非会うよう」言われて会った、ということもあったそうなので(黒羽麻璃央くんがとある大学のトークショーで発言した内容です)、やっぱり三日月と鶴丸の結びつきというのは演出側からも十分に意図されていて、今後も謎の一つとして、また「刀ミュ」における要の部分として引き続き語られていくのだろうとは思います。

「知恵伊豆」と平和主義、そして鶴丸の立場

天草四郎として松平信綱(知恵伊豆)を訪ねた鶴丸と知恵伊豆のシーン。

 

知恵伊豆は徳川家康が目指した「太平の世」同様「戦はなくさねばならん」という考えのもと、「戦という単純な暴力に頼った時点で戦で立ち向かうしかなくなる」、本来は「正すべきは政のほうである」という至極真っ当な意見を持った人であることが明言されます。

 

前半にも刀剣男士たちの会話の中に「戦いは間違いである」→「だったら戦いの道具である俺たちは間違いのための道具なのか?」→「考えても無駄だ」というような話が出てきていて、それに対する答えの一部ともいえる場面。

「戦い」は極力避けねばならない非常事態で、でもどうしても起きてしまう局面があって、そんなときに戦えるのは刀のような武器であり、守ってくれるのはまたそういった武器であるということなのかな、と。

だから刀は間違いのための道具というわけではなく、過ってしまったときに最後に使える手段のひとつ、のような立ち位置なのかもしれないな、と思ったりしました。

 

そして、島原の乱にせよなんにせよ、戦いというのはそれぞれひとりずつ違った目的があって参戦していて、その詳細や結果がどうであれ「戦いがあった」という歴史を守ることも刀剣男士の仕事である、というのが鶴丸のセリフにありました。

 

鶴丸にとって重要なのは「真実」ではなく「事実」であることも明言されていて、つまり「事実」として歴史に残れば天草四郎が3人いようが刀剣男士が演じていようがどうでもいい、ということのようです。

気づけたのは一部だと思いますが。三日月とはまた違うような鶴丸のスタンスが垣間見える重要なセリフが散りばめられているのも今作のキーだと思います。

 

バランサー・大倶利伽羅

今作での大倶利伽羅はとにかく安定感抜群のバランサーでした。

真っ直ぐすぎて傷ついてしまう浦島、不安定な松井江、まだ三日月ほどにはなれない鶴丸という不安要素がありながら豊前や日向とともに陰ながら支える役割で、あまり感情を表に出さないからこそ一言一言が重く、そしてみほとせの経験があるからこそ伝わる、みたいな部分ではとても安定感がありました。

とはいえ、島原の乱そのものに縁があるわけではなく、どちらかというと鶴丸の不安定な側面へ踏み込める唯一の人物というような立ち位置で描かれていた気もします。

何故か途中で鍛錬シーンが入ったのは普通にびっくりしましたが面白かったです。

セットの色んな所にトレーニングできるスポットが有るという笑いどころが分かりづらいシーンがシュールでした。映像見てください。

資料の答え合わせ的なもの

多分、ざっくりここが一番役立つと思います

christian-nagasaki.jp

 

 

話が話だったので流石に重くて、今もブログ書きながらなんとも言えない気持ちがあったり、まだ整理しきれてないところも多くあります。

1部に関してはまた考察したいこと、気づいたことがあったら何かしら書こうと思います。

 

 

ということで。次。

 

【感想】2部

宗教っぽさが全面に出ていた1部に続いて2部もなんだかんだ宗教っていうか英語の歌詞が多いような、洋風な印象が強い公演でした。

 

セットリスト。多少抜けはあると思いますが一応。

  1. オープニング
  2. 新曲
  3. 松井ソロ
  4. 豊前・大倶利伽羅 Yellow Sac Spider (仮)=毒蜘蛛のこと、車のSpiderとかけてる?
  5. 浦島日向 ※曲中でダブルダッチ (なわとび)
  6. 鶴丸ソロ
  7. タカラモノ ※客降り曲?東京公演は客降りなし。
  8. 太鼓新曲
  9. 戦うもののレクイエム(歴史人物)
  10. 刀剣乱舞

 

松井ソロが異常にかっこいい。

ビッグバンとかなんとかよくわからないけど横文字みっちりめっちゃかっこいい。

ライブ衣装もすごい、って説明しようとしたんですけど今後Twitterとかで役者さんが挙げてくれると思うので割愛します。

それにしても江ふたりが王子様みたいな衣装だったので(オスカル様みたいな)優勝です。

 

タカラモノにあんないろんなかわいい振り付けあったっけ?と思ったり、いつも知っていると2部とは色々違うので、それはそれで大変でしたがある意味集中して見られたので良かったかもしれないです。

 

あとはTwitterに書いたことがほとんどかなと思います。

アップテンポな曲が多くて、ライブで楽しそうなのでこれからも歌ってほしい曲ばかりでした。

正直、まだまだ歌唱力は伸ばせる余地があるとも思ったので今後に期待です。

 

戦うもののレクイエムをキリシタンとの戦の犠牲者に向けて歌う歴キャスという組み合わせにしんどくなってしまいました。

レクイエムってつく曲があったの多分偶然だと思いますが。

なんだか巡り合わせですね、本当に。

 

梅干しミュージカルやったり釣りやったりほっこりするところもありましたがだいたい重かったです。

 

あとこれまでの本公演全部必修です。

 

最後にコロナ対策の話。

 

刀ミュ・銀劇公演のコロナ関係の対策について

公演公式を見てもらいたいんですが、客としてわかってる・観た範囲では以下の通り。

 

  • 物販・入場問わず、劇場内に入る前に両手消毒
  • 入場時、チケットの前にサーモグラフィー(ひとりずつ向けられるタイプ、レジのバーコードスキャナみたいなの)→大丈夫ならチケットもぎり、入場
  • 会場内は開演しているとき以外ほとんど換気のために窓やドアが開放になるので場所や時間によってはとても寒いです
  • 待機列も公式からアナウンスが有りましたが、場合によっては屋外です
  • 滞留、また会話も控えるようにとアナウンスが有ります
  • にも関わらず、守っていない人もいたので気をつけたほうがいいと思います。劇場付近は商業施設なので、最悪そちら側に迷惑がかかれば中止なども大いに有り得るので……。
  • コーレス禁止です。そのことは事前に家臣ズ(仮)から説明があるので、2部始まってからわかると思います
  • 開場前物販もチケット持ってないと入れません。該当日時の座席指定券(抽選や一般で買ったチケット)または当日引換券で入れます。
  • 開場後はもちろんチケット持ってないと物販入れませんが、その際はあらかじめ当日引換券の場合引き換えないといけないので(もぎりがあるので)注意です
  • 人数が分散するように細かく区切ってオペレーションしてくださってます。そのためいつもより1.5倍〜時間かかってるように思います。時間には余裕を持っていくのが賢明だと思います。

 

力尽きたので今日はこのへんで。

 

つらかったけど興味深くて本当に楽しかったです。

三島まで会いに行ってよかったです。

 

 

追記。

1部で鶴丸日向浦島がMy Name Is 天草四郎でラップします(?)

 

では。