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【感想】ミュージカル『刀剣乱舞』江 おん すていじ 🐾新編里見八犬伝🐾【初日配信&12/20現地】

最推しの江派、特に篭手切江が座長を務める「江 おん すていじ」行ってきました。

 

 

最高のアイドルソングまでありがとう。

 

 

 

推しの座長公演、そして「あいどる」としての彼の夢が叶う瞬間に立ち会えてほんっとうに嬉しかったです。

 

いつも通りネタバレありでいきますのでご理解の上ご覧下さい。

 

 

初日(配信)

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12/20 昼(現地)

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細かい感想・メモなど

3部MC 12/20昼の大入り袋は雨雲→篭手切

中身は「団子引換券」でした。1部で団子を配るシーンで篭手切だけ団子を食べ損ねているというのを回収した上で、雨雲から団子引換券をプレゼント。

 

1部の大典太と水心子の鯉の餌やりのシーン、水心子がはしゃいで大典太に激突→ごまかしきれない水心子。

餌をざぁぁってひっくり返してぶちまけて寄ってくる鯉に大喜びする水心子。

あとは団子のシーンでもはしゃぐ水心子。

わかりやすすぎてごまかせてないのが可愛すぎる。

連日のグッズ完売も納得。

 

個人的好きポイント。

1部。桑名と松井の畑仕事のシーン。

松井が低血圧でしんどそうにしながら「身体って厄介」みたいなことを言ったのに対して、桑名が「それを承知で生まれてきたんだから」って返すところ。

歌合の「顕現」の儀式を踏まえての会話であって、色々な苦しみも背負ったうえで生まれてきているのを知っているから本当にしんどいシーン。

 

3部のユニット曲、雨雲はわかるんだけど松井篭手切は割と意外でした。

あの2人、仲悪そうには見えないけどどちらかというと豊前を通して会話している、かかわっているというイメージが強かったので。

勿論細川という縁があるのでいつかは絡むと思ってましたが、ここでああいう一風変わったテイストのユニット曲というのは意外でした。

実際には豊前がいないと〜というよりは、松井が篭手切に遠慮している節はあるのかもしれない。

関係性で言うと立場上は篭手切の元主>松井の元主になるので……。

やっぱり上司の家の子ってなると、武家の刀はそういう上下関係きっちりしてそうだから遠慮があったのかもしれないなと思ったり。

ただ、豊前の元主も細川家ほどではないにしろ、名家かつ大大名なので、その辺の上下関係というかバランス感覚がどうなっているのかはちょっとわかりませんが……。

 

あとは2部、豊前が道節になったり浜路になったり忙しいのも面白すぎる。

あそこで完璧すぎないのが学芸会感というか、「手作りの舞台」という劇中劇の設定のリアリティを出していて好きです。

実際、男しかいなくて兄弟で〜ってなったらああなるもんね。

刀剣男士の思考の過程が見える感じがすごく良かったです。

 

とはいえ本丸で上演する手作りの舞台にしてはあまりにもハイクオリティですが。

本丸のどこにあんなスペースが……?あと書き割り、誰がつくったのか知りたいですね。

絵心ありそうな刀剣男士、いる???

勿論武士なら教養として多少は習ってるのかもしれませんが、それにしても浮世絵なので……まんば……?

というか八犬伝の写本の件からして「江水のまんばの内職」、「南海先生の発明」とか、他作品でいうところの「乾汁」「跡部様」「○○博士の発明品・魔法・薬」「権力者の思いつき」「違法マイク」並に二次創作のご都合展開免罪符アイテムになってる気がします。

江戸のものならほとんどまんばから入手できそうな勢い。

それと今回は人形浄瑠璃とか女田楽を出してきましたが、もうあとやってない伝統芸能って何か残ってますか……?

 

それと3部の太鼓が今回は鼓笛隊、マーチングバンドという洋風テイストになったのもびっくりでした。

江がいつも通りの和太鼓とは思いませんでしたが、まさかのYAMAHA

いつもと違う楽器、しかもそれぞれ違う楽器ってなかなか大変だったんじゃないかなと思います。

どこまでも「江」らしく、篭手切の目指す「あいどる」らしさが詰まっていて良かったです。

そして、これだけ「あいどる」としてのすていじを成功させても、篭手切はあくまでも「誰かを楽しませたいというのは表の理由で、本当はもっともっと強くなるためにやっている」というようなことを言うのにはっとさせられました。

劇中でも触れられていましたが、あくまでも彼らの本分は戦うことで、それ以外は個々の鍛錬というか、趣味というか、必須のことではないのに、「そうせずにはいられない」から「すていじ」をやろうとする篭手切。

過労で台本を書きながら寝落ちした篭手切に豊前が「いろんなものをひとりで抱え込むから」といい、一緒に様子を見ていた大典太に「そうせずにはいられないんだろうな」というようなことを言うのに対して、大典太はそれを「業」と言っていました。

篭手切にとっての「すていじ」や「あいどる活動」は「そうせずにはいられない」こと、「業」。

江派のあまり多くの物語を持たないという共通点を鑑みても、篭手切にとっては刀剣男士の強さ=物語の強さなのかもしれないなと思いました。

あれ、これどっかで見たような……。

 

刀ステ……?

 

そういやステの山姥切国広も「物語をおくれ」って言って……。

 

怖い怖い怖い。

やめましょうこの話。

 

そういや先輩こと稲葉江はどこへ……?

 

今回の篭手切は比較的人間味があるというか、血の通った存在として描かれていたようにも思えるんですが、やっぱり怖い。

篭手切ってやっぱり、どの江派の男士よりも「神様」に近い気がする。

先述した松井や桑名の発言や雨雲が「犬」の要素を強く持っているところを見ても江派は全体的に「人間ではない」ということに自覚的だと思うんですが、その中でもぶっちぎりで篭手切はその意識が強そうなイメージ。

まだ自分が未熟な存在という自覚も強くて、だからこそ「未熟な私は夢を見る」を歌っていて、今回そこで歌っていた「夢」が叶ったからといって決して浮かれないんだろうなと。

もちろん、今作ではラストの映像でようやく(見た目の)年相応の、可愛らしい反応をしているのが見られるんですが、それは本当に気を許せる仲間の前だけで、主にはきっと見せてくれないんだろうなとも思いました。

長谷部や巴ちゃんとも違った、もっと堅い武家の補佐役として主に接する篭手切なので、主や別の刀派の面々にはどこか壁を感じさせるというか、相手の立場によって接し方を上手に変えられる器用さがあるというか、そんなイメージもあるので。

実際、刀派の違う大典太や水心子がいるときは「〜と思うんだ」「〜だろうか」みたいなお堅い口調で、同派のメンツや一緒に出陣して親しくなった相手(御手杵など)には「さん付け」+柔らかめの敬語だったり、「りいだあ」みたいな愛称を使ったり、距離の取り方がわかりやすい気がします。

それに対して豊前や桑名は誰に対してもフラット。あと雲さんは仲間には結構はっきりものを言うタイプ。松井は誰に対しても似てるけど仲間の前では方言が出るのがいい。

雨さんもある意味フラットというか、歌人なのでまた違ったベクトルでモノを見ている気もします。

自分の気持ちが正直に顔に出てしまうという人間味がありながらも、それを振り払って「刀剣男士」として自分を律しようとする水心子と、「あいどる」というポップカルチャーとの親和性が高いながらも、どこか浮世離れしていて、重い「業」とともにある篭手切が共演することで、その2人が対照的であることに気づけたのは大きかったです。

どちらを表とし、裏とするかという問答も、それぞれがあの過酷でイレギュラーな「東京心覚」と、いわゆる裏の歴史である「葵咲本紀」に出陣した刀剣男士だからこそ効いてくるやりとりだと思いました。

 

感想としてまとめるのがすごく難しいボリュームで、しかも劇中劇も組み込まれているというので説明がすごく難しいんですが、本当に面白かったということだけは伝えたいです。

源氏双騎の難しさを思うと、今回ぐらいの難易度、内容がわかりやすくて良かったなとも思いました。

 

とにかく来月の大阪公演まで、無事、怪我無くやりきってほしいです。

 

ではまた。