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【感想】ミュージカル『刀剣乱舞』-東京心覚-【3/11・昼夜】

※注意※

現在上演中のミュージカル『刀剣乱舞』-東京心覚-のネタバレを多分に含みます。

鑑賞済みの方、もしくはある程度把握してから観たいなどという方のみご覧下さい。

若干パライソ等のネタバレもあります。
上演開始から間もないため、いつもより大きめに注意喚起をしています。

 

 

はじめに

今作「ミュージカル『刀剣乱舞』-東京心覚-」(以下、東京心覚)は正直言って「わっかんねー」です。が、面白いところというか、刀ミュとしては新鮮な視点だったとは思います。

そうした作品の性質上、ストーリーの 考察や込み入った設定の部分について語るには少し時間がかかるというか、正直自分の中にはそれだけの言葉がないようにも思うので、個人的な感想とちょっとした注釈、考察の手がかりだけ残しておこうと思います。

 

1部・ミュージカル

 

 

今回の編成紹介と見どころ

今回の編成メンバーに簡単な紹介を添えて。紹介の中で少しだけ2部にも触れています。

いつもながら敬称略です。

大典太光世(雷太)

まずデカい、かっこいい。ステ大典太も再現度が高くてすごいんですが、ミュ大典太も同レベルで再現度が高いことに驚き。大典太になれる人がこの世に2人も居るのがすごい。すらりと背が高くて、独特の殺陣と重々しい雰囲気をまとった立ち姿も見事。

雷太くん自身のことはテニミュで知りましたが、その多芸多才で個性的なところは唯一無二の役者さんだと思うので、今回大典太としてキャスティングされたことは驚きと嬉しさが同時に来た感じでした。手足の長さも活きる華麗なダンス、ファッションにも詳しく持ち前のスタイルの良さと美しさに加えてメイクも出来るというセルフプロデュースにも長けた役者さんで、それが今作でも存分に生かされていました。

特に2部では雷太くん自身の得意とするスキルであるダンスに加えて、ボイパ(ヒューマンビートボックス)も披露されるので必見です。ちなみに歌もめっっっちゃ上手い。

 

・ソハヤノツルキ(中尾暢樹

顔が綺麗!!!!!!!なんだこのイケメン。と思ったら荒木宏文さんたちが出演していた深夜ドラマ「クレイジーレイン」で衛生係だったイケメンでした。衝撃。

陽キャパワーがすごい。眩しい。エネルギーが凄まじい。大典太と並ぶと太陽と月というかすごい兄弟。元々派手な見た目のキャラクターとはいえ、華やかさと爽やかさが際立っていました。歌もダンスも素晴らしくて、これまでテレビの人のイメージが強かったのがひっくり返りました。

昼公演のウェーブと手拍子の号令もソハヤでしたが、どちらもバッチリ決まっていて、初出陣とは思えない慣れっぷりでした。三池兄弟の曲も良くて、それぞれのスキルも高いので、そろそろ長曽祢さんたちとラップバトルでもするんじゃないでしょうか。いや、して下さい。

 

豊前江(立花裕大

ヒィ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!(オタクの悲鳴)(遺言)

顔がいい。造形がもうフィギュア並の完成度。どこから見ても美しい。

初登場から1年、見事に人を狂わせる刀になりました。

毎日30分ぐらいでスタンドメモ売り切るスピード感は何なんだ。

何あのイケメン彼氏面。最高。見ているだけで万病に効く。寿命が100000年延びる。

失礼しました。取り乱しました。

それはそれとして、今回の豊前はヤバかった。

刺客の襲撃から時間遡行軍によって守られた太田道灌を躊躇いなく斬り、「これが歴史だからな」と五月雨に話すシーンがあるのですが、そこで太田道灌を斬る瞬間の表情の凄絶さときたら。

パライソで歴史を守るためとはいえ非情な決断を迫られて躊躇っていた松井に対して鶴丸に「刀剣男士、やめるか?」とまで言われていたことを思えばかなり対照的でしたが、豊前もパライソの経験があったからこそ今回躊躇いなくやったのではないか、とも思ったり。

とはいえ、それを目の当たりにしても繭一つ動かさずに「今後は自分が汚れ仕事を」と言う五月雨江の肝の据わり具合や篭手切にも通じる人間と一線を引いた自覚ぶりにも圧倒されました。

今作の豊前は江みんなのりいだあとして、OJT的なことをしていたのが大半。パライソほどのしんどさはなかったのですが、所々で自分には本来の居場所がないと、存在の不確かさや不安定さに言及していて、かといってそれを悲観するでもなく朗らかに爽やかに肯定し受け入れていく器の大きさがりいだあのりいだあたる由縁なんだと納得できる流れ。ぶっちゃけ豊前が居なきゃ物語として全然成り立たない1部。

2部衣装はレーシングスーツのようなつくりの現代的な雰囲気で、ギラギラのスパンコールもよく似合っていました。顔がいいと何でも出来る。桑名のメカニック風つなぎとも相性がよくて最高。

夜公演の手拍子とウェーブの号令も担当していましたが、突然通常とは逆向きからウェーブをしようとしたためにステージ上の意思疎通が図れず失敗するというまさかの結果に。豊前、打ち合わせはしっかりしてね……!普段篭手くんが頑張ってるんだなぁと言うのがよくわかりました。だがそれもいい。天然でちょっと抜けてるところも素敵だと思います。

そういえば1部の最後に江の出陣フラグが立っていましたが、「江は……」(ブラックアウト)がめちゃめちゃ怖かったです。江はなんかちょっと神様寄り、というのが本当っぽくなってきましたね……。

以上です。

 

・桑名江(福井巴也)

今回で本公演初出陣!といっても歌合から出てるのでまだ出てなかったのか、、、という感じ。本業がアイドルなのでステージ慣れもしていて、地に足付いたどっしりした素朴な雰囲気が桑名江そのもの。

刀剣男士であるにもかかわらず、農業や食への関心が高く、生きることを謳歌しているようにも見えて、かと思えば「死ねば土だよ」という死生観の持ち主であったり、森羅万象への思いのかけ方は独特だったり、どうしても人間とは異質な存在であることを意識させられる部分の絶妙さにゾクッとくる感じも最高。

そしてこのメンツで脱いだら一番すごいのは多分桑名。

2部衣装の腕を見て下さい。筋肉が美しいしたくましくて素晴らしい。泥臭くいこう、という農作業も出来るキャラなのが一目瞭然。説得力がすごい。

 

・水心子正秀(小西成弥)

今回のメインキャラクター。いつもの部隊長というのとはちょっと違う気もしますが、彼の考えをもとに動いていたのもあるので一応部隊長のポジション。

冒頭とラストのシーンが心象風景なのか何なのかはいろんな見方もありそうですが、彼の生真面目なところが今回の物語に彼を出会わせ、三日月のために出来ることをしようという原動力になったのでしょうか。あるいは三日月の意思によって導かれたのか、仕組まれたのか。

とにかく異質な今作において、必死でもがいていたのが彼でした。

今回のキーワードはコロナ時代を隠喩したともいえる「結界」「線」「境界線」でしたが(こちらは後述)、それらを「人の心の中にしか存在しない」と結論づけていたのも印象的。

刀剣男士でありながら「心」に思いを馳せ、寄り添い、三日月宗近の意思にも考えを巡らせ、実際に行動するというのは新々刀としての誇りを持つ彼ならではの在り方だとも思いました。

様々な時代の出来事を見て、彼が葛藤していた「歴史を守った先にあるもの」「守るべきなのかどうか」といった部分には彼なりに納得し、歴史とは大河でもあるという前提の上で「歴史は月のようなものでもある、見えない部分も確かに存在している」「名前や記録、人の記憶に残らなかったからといってその人々の存在そのものがなかったことになるわけではない」という考えに至って三日月からの使命を全うすることを選んだようでした。

ライブ衣装がいつものてるてる坊主みたいなコートそのままでびっくりしましたが、似合っているし可愛いのでよし。あんまり脱がなかった。ガードが堅い……。

 

源清麿佐藤信長)

めちゃんこキュート。とっても可愛い。笑顔が素敵。好きになっちゃった。そんな爽やかで明るくて軽やかな刀。演者さんのことは名前しか知らなかったのですが、生真面目な水心子と軽やかで天才の風格を持つ清麿の関係性がよく窺える好演でした。

2部でもキュートな笑顔を振りまく姿は生まれながらにしてアイドルといっても過言ではない雰囲気で、どうにか必死でやっている感じをにじませる水心子のややぎこちなく初々しい感じとは対照的。

兄弟(作者が一緒)などでも兼さんと堀川くんみたいな主が一緒パターンでもなく、単に親友というのはかなり珍しい組み合わせかもしれない。

刀ミュアイドル界のダークホース現る。江とは多分事務所が違うアイドル。

 

・五月雨江(山崎晶吾)

今回初出陣。ゲームにも実装されてあまり経ってないなかでの登場なので、今ひとつキャラクターがつかめていなかったのですが、晶吾くんにハマっていてとても良かったと思います。テニミュ氷帝の滝さんを演じていたときから美しいキャラクターが出来る役者さんだというのはわかっていましたが、五月雨江の影のある感じと静かな雰囲気もよく似合っていて、五月雨江というキャラクターがますます好きになりました。

村雲と2人で歌う曲も雨と雲の関係性に言及していて、切なげなメロディと演出だったのも非常に良かったです。最後にワンワンいうのも可愛い。歌も以前よりずっと上手くなっていて、声も綺麗で魅力的なので、千秋楽のあたりにはもっとクオリティが上がっているのでは無いかなとも思います。クールな表情が無愛想ではなく美しく見えるのも好印象。

 

・村雲江(永田聖一朗)

我らがせーちゃんが帰ってきたぞーーー!!!!!!!!というのがテニミュのオタクの所感です。今回も持ち前の運動神経の良さを存分に見せつけてくれていて、1部の殺陣の軽やかさや柔らかさ、2部でソハヤと2人でアクロバットを披露するところは信頼のクオリティでした。パステルカラーもよく似合う小動物的な愛らしい雰囲気も村雲江にぴったりで、雨に濡れた子犬という言葉がぴったりの庇護欲を煽る佇まいにはつい構いたくなるようなところもあり……。

将門を封印するシーンではおなかが痛いので見学してもいいですか!とは言うものの、桑名に諭されたらクソ!!と叫んで戦意を剥き出しにするギャップも良かったです。

2部で見せた笑顔はやっぱりせーちゃんだなぁと思ったり、少しけだるげなところもやっぱり構いたくなる雰囲気を持っていて、キャラクター自身のこともとても好きになりました。

感想

水心子の心象風景なのか、彼自身の見たものなのか、スクリーンの映像が現代東京から昭和へ、そしてそれ以前の時代へとフィルムのように流れていくところから始まるオムニバス劇。

平将門の活躍した時代、天海のいた時代、太田道灌の時代(江戸城築城)の江戸(東京)を知り、三日月宗近の持つ役割を、機能を、呪いを少しずつ理解していく水心子だが、、、という感じです。

正直、今まで以上に難解かつ説明しづらい部分が多く、あらすじらしきあらすじを書くことが困難です。

今回の物語で果たされていたことがあるとすれば、水心子という比較的新しい時代の刀が自身の記憶の混乱、彼の言葉でいえば「立っている場所がわからなくなった」ことをきっかけに様々なことに思いを巡らせ、その中で本丸の古参であり刀ミュ世界におけるひとつの「機能」である三日月宗近について考え、三日月宗近とは何か、歴史を守ることとは何かを問うことでした。

あくまで水心子の視点による問いかけや理解であって、絶対的な答えを提示するわけでもなく、これまでのように歴史そのものに対しての任務をこなすでもなく、大部分は刀剣男士と歴史という大河の関係性を考えるための要素でしかなかったということから、いつも以上に「わっかんねー」になったんだとも思います。

キーワードは「線」「境界線」「結界」。

コロナ時代には相応しい、人と人、場所と場所の隔絶は勿論、「彼岸」と「此岸」、「刀剣男士」と「表の歴史」「裏の歴史」に対してもかかっているのも考えようが色々あって、明確な答えがないのも刀ミュらしかったり。

ただ、水心子が審神者たちの思いを具現化したような面の少女に対して語りかけるメタっぽいセリフはやっぱりコロナ時代だからこそのメッセージという部分が大きくて、この作品自体はともかく今回のような演出、セリフ選びはこの時代にしか生まれなかっただろうな、と思ったり。

一方で、この先やコロナのない時代になったときに作品単体としてみたときはあまりにもわかりにくいのではないかなと思ったりもしました。

言ってしまえば「コロナありき」というか、この時代に同じ困難や苦痛を感じた人たちにしか理解できない、演劇が生ものであることに振り切った部分も多かったように思います。

私個人としては現実に引き戻されてしまう部分も多く、あまり物語の世界に没頭できなかったことは本当に辛かったです。

東京を知っている人とあまり身近でない人ととの間では受ける印象も異なるようにも思えて、正直「刀ミュ」としておすすめするかと言われたら難しいです。誰が見ても楽しい作品とはまた違う気もするし、実写映像が流れると冷める、苦手という人にはあまり勧められないです。

もちろんそれも含めて今作の意図だというのは理解しているつもりで、メタなのも敢えてやっている「現実と虚構の境界線」に触れることの実践であり、水心子がショックを受けた「守った歴史の先にあるもの」の一つとして組み込まれているということを感じさせるには素晴らしい手法だと思うのですが、いかんせん伝わりにくいので、ストレートに楽しめるものとは別ベクトルの応援というかエールなんだと思います。

考察や元ネタについてはまた別に記事をあげます。

2部・ライブ

セットリスト

・OP(ダンサーさん)

・全体曲

・三池兄弟

・新々刀コンビ

・江4人

(MC)

・第2形態で新曲(大典太のボイパ)

・ペンラ曲(ウェーブもここ)

・将門のターン(殺陣)

・本能!ファイヤーファイヤー!みたいな新曲(ここで第3形態、脱ぐ&太鼓)

・太鼓(歴キャス)※すなわち衣装替え

・時間遡行軍の襲撃(まあダンス的な……?殺陣……?)

・いつもの刀剣乱舞

感想

全体的に現代的でハードな感じ、電子音というかギラギラしたサウンドが印象的でした。

三池兄弟はやっぱりイメージ通りのかっこいい感じで、新々刀コンビはイリュージョンがどうとかいうちょっとエキゾチックでアジアンなサウンド。江4人は期待を裏切らないアイドルソングで、キラキラ眩しくて夢を歌っていたのは篭手切から続く江の系譜だなぁと思ったり。

大典太のボイパは中の人的に予想してたけど実現して嬉しかったです。

ペンラ曲も華やかで明るくて元気が出る1曲で、これからもライブの定番になりそう。

将門がとにかく良くて、びしんくん流石だなぁと思ったり。あの太刀操れるのすごい。

あれだけかっこよかった豊前が突然ファイヤー!とか言い出すのはちょっと面白い。

他も脱いだらすごいしノリが全体的に特撮のOPみたいな感じ。なんなんだ。面白いしテンション上がるから良いけど。多分またライブでやる。ファイヤー担当とか言われそう。兼さんとかもやりそう。同系統。

かっこいいアレンジの刀剣乱舞が増えてて嬉しいこの頃でした。

Twitterまとめ

ちょっとネガっぽいことも書いてます。あしからず。

 

おわりに

自分の中で賛否の両方がある感じです。

本当に今作はいろんな意見があって当然だと思うので、今後の出来で評価が決まるものだと思います。

まずはこういう作品がこれっきりやらなくていいよう、一日でも早くコロナが収束してくれることを願います。

 

ではまた。