Stellar Interlude

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【感想】科白劇 舞台『刀剣乱舞/ 灯』改変 いくさ世の徒花の記憶【7/25・昼】

 

正式タイトルは次の通り。

科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶

半年ぶりぐらいの刀ステ行って参りました。

大変な状況の中、どうにか「灯」を絶やさぬようにしてくださったおかげでこうして観劇することが叶いました。

 

今回もやっぱりヘビーだったので上手くまとまるかはわかりませんが、ひとまず初見の感想ということで書いておきます。

 

ネタバレ感想の前にざっと事務的なことを書いておきます。

 

【重要】感染症対策・入場時のことなど

刀ステも例に漏れず、というか例外的なまでに厳格な感染症対策を行っているので、必ず公式HPの注意を読んでから来場するように言われています。

 

行った感じの雰囲気や順序は次の通りです。

  • 坂の上(外)に入場待機列作成
  • 時間になったら10人〜20人ずつ中に案内される
  • 列作成から入退場まで常にソーシャル・ディスタンスをとるため間隔を取っての移動
  • スタッフさん完全防備
  • 館内待機列で靴の消毒マットを通る、手の消毒、検温→もぎったチケットを提示(場内に掲示あり、電子だとちょっとわかりづらいので要確認)→物販または座席へ
  • 座席は前後左右1席ずつ空席、互い違いになるので見やすいといえば見やすい
  • 座席間違いでギリギリに移動になっている人が居たので着席前に座席番号の確認を!(いつものステラボールとは席番が違います)
  • お手洗いはそもそもお客さんの人数が少ないのでそれほど問題なし
  • 座席によって寒暖差が激しい、羽織る服やブランケットなど必須です(特に足下が冷える)
  • 最前列はフェイスシールドをつけるので人によっては髪型やアクセサリーにも気をつけた方がよさそう
  • 隣の水族館も人が多いので時間帯によっては注意が必要そう。待機列を間違えないこととか、休日は品川Wingも比較的混雑しているように見えたので気になる人は食事は自宅や別のところで済ませてきた方が良さそう。

 

こんな感じでしょうか。青年館だとまた変わる可能性があるので、ステラボールの一例としてお考えください。

 

ではここからはいつものネタバレあり感想になります。

よろしければご覧ください。

 

ダイジェスト映像


【公演ダイジェスト】科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶 ※“綺伝 いくさ世の徒花”に取り消し線入る

感想

Twitterまとめ

 

状況・時間軸について

  • 維伝の後
  • 刀ステ本丸とは違う本丸が行った、特命調査慶長熊本の報告書をベースに話を進める
  • 別の本丸の報告書を見ると刀ステ本丸の特命調査とは少し違っているところがあるので、そもそもこの特命調査とは何だったのか、分析や研究のために比較してみよう、というところからスタート。
  • 今回は別の本丸の報告書を刀ステ本丸のメンバーが語る、という方式。
  • 今回の公演の慶長熊本=別本丸の再現ドラマ的な感覚
  • 刀ステ本丸の男士本人が語る=基本的には内番服を着ている(場面により例外あり)
  • 科白劇とはいえ台詞と仕草だけではなく、殺陣などもあり。アンサンブルに当たる時間遡行群などは映像メインですがほとんどいつもの刀ステ。なおキャスパレ、OP・EDの歌唱はなし。
  • 見てたら正直フェイスガードなんか気にならない

1回目で把握できたのはこのあたり。

獅子王が小烏丸から特命調査についての助言を受けたとも発言しているので、やはり前回の『維伝』と地続きとみてよさそうです。

登場人物(キャスト)

登場人物とポジション、そして印章についてそれぞれ簡単にまとめておきます。

割と好き勝手書いてますがどのキャラも好きなので愛だと思ってください……。

いつも通り敬称略。

 

歌仙兼定和田琢磨

第3部隊隊長にして本作の主人公。

戦闘時に翻って映えるマントなのが皮肉に思える展開。

いろいろ言いながらも忠興を、そして忠興が愛したガラシャを自分の「物語」の源として大切に思っている様子。

腰を落として重心を低く置いているのか、袴での立ち居振る舞いが素晴らしく美しい。とっても雅。

みんなのいいお兄さん。これまでとは違って落ち着いた、なんだかんだ大人な部隊長。

忠興が殺されてからは忠興の心を持つものとして、ガラシャに「私の鬼」と呼ばれ自分を殺すよう迫られたりもします。


山姥切長義(梅津瑞樹)

『慈伝』のイメージで見ると驚く。めちゃめちゃ強くなってる。長船イズムがすごい悪役令嬢。

「お前たちの死が来たぞ」タイムがすさまじい。サイリウムがあったら1000000000本焚かれてた。テンションが上がる。ものすごくかっこいい。

敵に対してゴミを見るような冷たい視線を送るのが素晴らしい。

かつて山姥切国広が黒田官兵衛を破ったと聞かされてから黒田孝高と相対して「似ている」と言われて長義のプライドを見せるところがかっこいい。

なんだかんだそっくりなんだよ伯仲組。

でも洋風の椅子があんなに似合うのは悪役令嬢の概念に近い長義だけ。

まんばちゃんは座椅子の方が似合う。(可愛いので)


にっかり青江 (佐野真白)

真白くん!?!?!?どうしたの!!!??!(率直な感想)

テニミュの壇くんのイメージしか無かったから大人っぽいキャラでどうなるかと思ったらものすごくハマってる。声もキャラのイメージ通り。ミュ青江がベテランだから心配してたけどこれはこれでいい。脇差らしさのある青江でした。なんかこう、健全。

衣装に関してはミュ青江よりも胸元の飾りがキラキラしてた気がする。

亀甲と一緒になんだかヤバい空気を作るけどいいコンビになってた。本筋との関係背が薄い分、いい中立地帯になってた。

 

亀甲貞宗(松井勇歩)

『慈伝』でアンダーも務めた勇歩くんだったので不安要素はなし。ただキャラがぶっ飛んでいるので難しいかなと思ったらそんなことはなく、眼鏡キャラだからなのかわからないが今までのイメージよりも冷静に状況判断をする悪役令嬢(長義)のよき執事。

たまに危ない発言をするけど下品ではないのがいい。愛のためなので……。

青江とは名コンビの予感。彼もまた中立な立場で話を進めるポジション。


獅子王(伊崎龍次郎)

じっちゃん大好き。おじいちゃん子ということで「じっちゃんが言ってたんだけど」「小烏丸が言ってたんだけど」のように人から聞いた知識が豊富。

今回のキーマン。時間遡行軍の力を借りたことで放棄された世界を繰り返し、存在や記憶が混沌とし始めた歴史上人物たちを「鵺」に例える。


篭手切江(大見拓土

歌って踊らないけど歌って踊れる付喪神。ミュこてくんはガチ「神対応」あいどるだけど、ステこてくんは世話焼きで真面目、見た目年齢相応の無邪気さも持ち合わせた感じ。細川家の刀とはいえ、慶長熊本の時代にはまだ居なかったので小夜左文字とは違った角度から歌仙と細川について話せるという、これまでにない距離感からアプローチしていた印象。


古今伝授の太刀(塚本凌生)

2.5次元初めてとは思えない憑依っぷりがすごい。設定資料がない今、髪の構造が見られるのは貴重。三つ編みみたいな髪型を後ろに垂らしているのが戦うと揺れて華やか。

歌仙とは価値観が違うものの、どちらも歌を愛する親子が持っていた刀ということで通ずるものがある様子。足がめちゃめちゃ綺麗。


地蔵行平(星元裕月)

今回のMVP。めちゃめちゃ働く。たくさん戦う。

研究して役作りをしていくタイプの役者さんなので、これが今回の研究成果か……と納得できるお芝居。審神者でも正直まだキャラがつかめていないというのにひとつの正解というか慶長熊本の解釈として素晴らしいものを見せてもらった。

地蔵はやっぱり板挟みになる運命らしい。しんどい。やっぱりとても美人。メイクも自作が多いらしいのでまた裏話を聞けるのが楽しみ。

ガラシャに「姉上」と呼ぶよう言われて絞り出すのがとても可愛い。

古今とふたり、「大蛇の刀」と「蛇のよう」だと言われたガラシャが一緒にいるのがなんとも言えない。

 

歴史上人物はみんな第2形態の衣装が素晴らしかったです。

最初はビジュアルで出ている黒ベースなのに第2形態だと白地に金色のスタイルに変化。

互いのことを洗礼名で呼び合うこともあるので、予習しておくと良さそう。


大友宗麟三浦浩一

見た目はボスだけど実はそうでもない。キリシタン大名たちの中心的な存在。

記憶が正しければ、倒されるときに「せめて正史の人々が満ち足りて生きて、死ねるように祈る」というようなことを言うからずるい。涙腺崩壊。

『維伝』龍馬の「日本はええ国か?」の問いに通ずる泣ける場面。


細川忠興早乙女じょうじ

ボロボロのなりで出てきたと思ったらちゃんと前作までの忠興の正装で出てきます。

ガラシャのことが「憎くて憎くて憎くて憎くて……愛おしい」。


黒田孝高(山浦徹)

こいつがラスボス。というか特異点か結いの目か。

名軍師は未来が見えてるんじゃ無いのか?とか言いますがまさに彼は未来が見えている名軍師。

同じ時間を繰り返すことにより、別の時代・別の時間軸で黒田官兵衛として山姥切国広と戦ったジョ伝の記憶を手に入れる。ただし、ジョ伝の官兵衛とは別人と本人は明言。

それなのに「ひと合戦仕る!」のかけ声はジョ伝と同じなので泣いてしまう。

異なる時間軸の間でも記憶の共有が可能であるという示唆を含めて今後のキーとなりそうな人物。


高山右近(黒川恭佑)

忠興×ガラシャの超強火カプ厨。2人の仲を引き裂いた歴史が許せなかったとのこと。

多分とってもいい人。見ててとてもつらかった。


小西行長堀田勝

まともそうに見えてたけど実はかなりヤバいキャラ。

ただ、彼もまたキリシタンであるため、あくまで信念のために、という感じで悪意がないだけにつらい。

 

大友純忠(石原正一)

これはバトジャン。バーサーカー有馬晴信の叔父。

刀剣男士に戦いを挑んでくるが割とあっけなくやられてしまうのが悲しい。

甥っ子からは「叔父御(?)」(おじご)と呼ばれる。


有馬晴信(船木政秀)

純忠の甥っ子としてセットで行動。

日本側の記録では切腹したとされているが、キリシタン側の記録では打ち首になって死んでいるとされていることから、「武将として死んだのか、キリシタンとして死んだのか」という問いを抱えて相対する。

 
細川ガラシャ(七海ひろき)

美の擬人化っていうか具現化。

声よし、顔良し、歌よし、芝居ももちろん、何も言うことがない。

初の女性キャストというけども、七海さんが実力と人気を兼ね備えた元宝塚のトップスターだから女性ファンに受け入れられたというのも大きい。彼女を超える人材はまずいない。ギリギリ宝塚出身者なら許されるかどうか。

第2形態になると宝塚大劇場を背負って登場する。多分オスカル様と親戚。

忠興が「憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて………愛おしい」

蛇のような女といわれても動じないところや肝の据わった様子を眉ひとつ動かさないで演じきっていたのが素晴らしい。

ものすごくかっこよかったし美しかった。徒花だったとはいえ最後まで地蔵のことを心配していたり、忠興に「許されたい」と願ったり、あまりにも悲しい。

ガラシャ様の罪は「あの人(=忠興)を憎んだこと」で、「誰かに赦されたかった」。

そして忠興が殺されて、「許してくれるのはあの人しかいなかった」と言って第2形態になるという流れ。また、自分が蛇か花かを確かめたくなったとも。

忠興と本来は幸せな夫婦、似合いの夫婦だったはずなのに運命のために互いに憎しみ合う関係になってしまって、でもそれは互いに思い合っているからに他ならない……というゆがんだ愛の話。好きな人にはとても刺さる展開。

歌仙はこれを「(ガラシャと忠興の)この心を愛と呼ぶには簡単だが、そうはしたくない」、だから「歌を詠む」と結論づけていたのがよかった。

彼女は花は花でも散り際をわきまえた徒花で、美しすぎる蛇で、明智家の桔梗の花がよく似合ってました。

 

講談師:神田山緑

本作の語り手。ちなみに刀装。

スピード感のある語りと熱量がとてもよかった。

言葉で状況を説明されると場面ごとの解像度が上がるので、いつも以上に泣ける部分が多かった気がする。

急遽入ったとは言えさすがはプロでした。

扇の音も気持ちよくて、講談について知るきっかけにもなったのでこのコラボはよかったと思います。

 

全体的な感想など

最初から「灯」としてたいまつのような明かりが置いてあるところからなんだか涙が出てしまって大変で、話も前回の刀ミュのパライソと同じぐらいに泣けて、泣けて、本当に泣きまくった気が……。

 

ソーシャル・ディスタンスを保った演出として近づけないことを笑いに変えるのが上手い。

最後の方で調査報告書の本を歌仙が渡そうとする→長義に近づけない→投げて渡すとか。

あとは殺陣のときにひとりずつ見せ場がもらえたり、もしかしたらいつもより贅沢かもしれない場面も多々あり。

イケメン回転寿司ならぬ刀剣男士回転寿司もありました。円状になって動けば確かに導線はかぶらない。賢い。

 

イメージするなら全体的にアニメや映画みたいな映像作品のカット割りに近かったような気も。

アニメなどで画面を分割して2つのグループの戦闘シーンを並べたりするけどあんな感じ。

舞台だけど演出手法は映像的で、キャストが客の方に向いて刀を振ったり今までに無い角度で見られた気もします。

 

やっぱり刀ステはゲーム原作であることを強く感じさせる作りなので、特命調査慶長熊本を泣きながらプレイした審神者なら多分耐えられない。

名曲として名高いボス戦の曲とか道中とかもそのまま使ってるところがあります。

アレはヤバい。

OP/EDもキャスパレがない代わりに賛美歌みたいな曲が使われていたり、全体的に神聖な感じがすごい。

いつも通り回想シーンもありました。

最後は本丸で必ず今回の公演になるはずだった「綺伝」を必ず語ると歌仙が約束してくれて、それも泣けました。

いつでもいつまでも待ってるぞ。やってくれ、綺伝。

 

刀剣男士と「心」

これは重要なので分けて書いておきます。

 

この話によると、刀剣男士の心は物語によって作られるもので、物語に関わった人々の心を少しずつ受け取っている部分がある、らしいです。

よって、歌仙であれば忠興とガラシャの心を持っていて、地蔵であればガラシャ明智光秀、そして細川の刀としての心も持っていて……ということになります。

だから歌仙がガラシャの「鬼」になり得たというロジック。

 

あとは長義がキリシタン大名たちに「人でなしが」と激高されても涼しい顔で「モノだからわからない」という姿勢を貫いていたのも印象的。

長義は心がないというわけではないと思いますが、心を理解することは出来ないというスタンスなんでしょうか。

国広が最初の頃、これが心か?という風に自覚するような場面も多かったので彼の「心」がどうなるのかはこれからの鍵になるかもしれません。

まとめ

形態がどうであれ、刀ステは刀ステでした。

しんどいオブしんどい。

どこを切り取ってもしんどい。

 

感染症対策という大変な条件に挑んだ刀ステの戦い方は歴史に残るものだと思います。

 

見てるだけでもとてもエネルギーを使う公演でした。

 

眠くなってきたのでこの辺で。

 

あ、あとは私が事前に読んで置いた本とか貼っておきます。

あと円盤も……。

 

 

 

 

 

 

 

配信もあるようなので是非。 

 

長々と失礼しました。

また何か思い出したら書きますね。ではでは。