Stellar Interlude

The show must go on!

【感想】舞台「HELI-X」【12/5・昼】

お題「気分転換」

 

毛利さん・西森さんのコンビが復活と言うことで早速行って参りました「HELI-X」。

今年一番面白かったオリジナル作品かもしれません。

感想はもちろんですが考察しがいのある作品でした。

いつも通り感想とネタバレありの色々です。

よろしければご覧下さい。

 

 

 

感想

 

 

アンケート用の下書きも一部どうぞ。

 

ゆづくんのことを以前から知っていて応援していたのと、自分好みの作品を作ってきた毛利さん・西森さんのコンビがどのような新プロジェクトを始めるのだろうという期待を込めて観劇したのですが、想像を遙かに上回る最高の舞台でした。シナリオや世界観の設定はもちろん、衣装や小道具、映像もひとつひとつがこだわり抜かれているのを感じました。正直、今年一番面白いオリジナル作品でした。舞台を普段見ない友人にも是非見てほしいと思ったほどです。

 

キャストについて:

ゆづくんはやっぱり美しくて可愛くて、以前に彼のインタビューなどで見た「性別:星元裕月」という言葉がぴったりでした。ゆづくんが中性的なキャラクターになれる希有な存在であることは間違いありませんが、ああした姫袖・フリルたっぷりの素敵なゴス風衣装を着てメイクまでセルフプロデュースしている姿を見られるのはサッドネスという役柄がゆづくんらしさや彼の魅力を最大限に引き出せるというところにあったと思います。ゆづくんらしく、鞭を使った戦闘も圧巻でした。複雑な役どころだからこそ、彼が演じてくれてよかったです。
玉ちゃんの演技は「怪演」というにふさわしく、ラストの方で男性と女性が切り替わるような話し方になるところは「TRANS」の特性を的確に表していて胸が苦しくなりました。

 

もうほんとに面白かったとしかいいようがないんですが、どのキャストもぴったりはまっていて、プロジェクション等も流石の出来映え。

個人的に気に入っているのは、銃撃のSEに必ず薬莢が落ちる音が入っているところ。マニアでもない限りあまり気にされないようなところですが、きちんと入っていたのがこだわっててよかったです。

 

考察

考察という名の考察ではない何か。

今作で判明した情報とかキャラクターの名前に関する話とか。

 

用語など

世界観設定などは公式HP参照。

ざっくりいうなら、第三次世界大戦に敗北し、大国ユナイト(モチーフはアメリカ)にヤマト(モチーフは日本)が占領されているという状況。

 

螺旋機関

HELI-X能力を持つ元犯罪者によるHELI-X犯罪の捜査機関。大国ユナイトの庇護下にあるため、ヤマト自治軍からは目の敵にされている。

 

ヤマト自治

ユナイトの占領下にあるヤマトの自治軍。一部の過激派が独立を目指し、クーデターを目論む。アガタの元所属先。

 

BLACK BLOOD(ブラック・ブラッド)

ユナイトやヤマト自治軍とも裏で繋がるマフィア。モチーフはチャイニーズマフィアと思われる。HELI-Xの能力者たちを擁する。「裏切り者には死を」が掟で、3年前にも次期後継者と目されていたカイがゼロと逃亡しようとしていたことから、粛清している。

 

TRANS

性別転換手術。生まれついた性別とは異なる性別になることができるが、遺伝子操作にかかわるため、激しく嫌悪する者もいる。一方で、様々な事情により性転換をした人間は元々の予想より遙かに多かったということが本編で示される。

 

アンドロギヌス(ギリシャ語:androgynos / 両性具有)

本作ではプラトンの『饗宴』においてアリストパネスが行った演説の内容が引用されている。

ja.wikipedia.org

男女に分けられたことで、半身として異なる性別の人間を求めることをいうが、ここでは同じ人物が「かつての性別の自分」を求めてしまうことについても言われている。

 

今作で判明したキャラクターの情報など ⚠ネタバレしかありません

【BLACK BLOOD(HELI-Xを擁するマフィア)→螺旋機関】

ゼロ(玉城裕規)

能力名:タイム(時を遡る能力、通常は数分だが、『触媒』(ここではアガタ)によって数年前まで遡ることが出来た)

使用武器:両手剣(湾曲した刃の剣、片手ずつデザインが異なる、TRANS以前と同じものを使っている様子)

元女性。BLACK BLOODの「暗殺者」。「生きる屍だった私に光を見せた」という恋人・カイと組織を抜けようとしたが、失敗する。カイを殺したクライに復讐を誓って男性になるが、実際にはクライがブラッドの命令により、自らの能力で植え付けた偽の記憶であることが判明。慕っていたブラッドが黒幕であることを知ると、ブラッド討伐のために本拠地を襲撃する。その際にカイの生き写しとしか思えない男・アガタに助けられたことや、カンザキの「愛した者が望んだ世界を創ることが残された者の責務」という言葉に後押しされたこと、逃げても犯罪者として裁かれる可能性が高かったことから螺旋機関に加わる。

 

【螺旋機関→BLACK BLOOD】

リュウジン(輝馬)

能力名:プロバビリティー(確率を操る能力)

ギャンブル好きで、コインを投げてそのヤマが困難か簡単かを予想している……が、実際には確率を操る能力があるのでどうなんだ。

ギャンブル狂いの夫はDVが激しく、リュウジンは子どもを守るために男性になるが、夫を殺害してしまったため螺旋機関へ。なお、子どもはリュウジンの母が引き取ったため無事。

ゼロがBLACK BLOODの本拠地襲撃の際にアガタとともに居合わせ、負傷。

レスターに助けられたため、ブラッド亡き後のBLACK BLOODに加わる。

 

【螺旋機関】

アガタ タカヨシ(菊池修司)

能力名:なし

使用武器:銃

オールSの成績で入隊したという優秀な軍人だが一般人。市民の幸福を守りたいという一心で入隊したため、ユナイトからの独立のためならば市民の犠牲をも厭わないという軍のやり方が許せなくなり、除隊を希望するが、除隊を許す条件として螺旋機関のシステムにウイルスをばらまくよう指示される。

半ばスパイのような形で螺旋機関に来たが、軍の陰謀を知ったことやゼロに感化されたこと、また軍による暗殺から身を守るために螺旋機関に残ることを選ぶ。なお、TRANS手術については一貫して「人は生まれ持った運命を受け入れるべき」という理由から反対の立場で、リュウジンからは「ガッチガチの差別主義者」と言われる。

 

アガタという名前については何点か気になる部分。

例えばこれ。女性のシンボルを持っている聖女が居ることとか。

ja.wikipedia.org

個人的には「国司」のほうのアガタのほうが当てはまる気もしますが……家族などが出てきたり、過去編によっては変わってくるかも?

 

ワカクサ(立道梨緒奈)

能力名:ナイトメア(悪夢を見せる能力)

過去などの詳細は明かされなかったが、シデンとともにカンザキを助けようと動く。

 

シデン(後藤大)

能力名:サイコメトリー(モノの記憶を読み取る能力)

おどおどした弱気な印象だが、仲間思いで、カンザキが拘束されたときもワカクサとともに黒幕を追うべく行動した。

 

シュンスイ(松田昇大)

能力名:センシス(感覚を研ぎ澄ます能力、相手の居場所なども探れる)

本編ではサッドネスに入れ替わられ、ユナイトの大使殺害の罪を着せられる。

疑いが晴れたかは不明だが、シデンによって助け出された。

 

カンザキ(久世星佳

能力名:ペインティング(未来を予知し、そのイメージを見せる)

階級は大佐。螺旋機関の長で、身柄を拘束されたときも「休暇だと思え」というような肝の据わった人物。能力は予知だが、相手にはそれをイメージとして見せることができる。来たばかりのアガタにも警告を行う。ヤマト自治軍とは何か過去にあった様子。

 

【BLACK BLOOD→不明】

クライ(宇野結也

能力名:メモリー(相手の記憶を書き換えるが、書き換えた記憶をさらに上書きすることは出来ない)

使用武器:日本刀

世界で初めてTRANS手術を受けた人物。

かつてはBLACK BLOODにいたが、カイの死と同じタイミングで離脱。理由は、ブラッドの命令により親友であったカイをゼロの前で殺害した、という記憶をブラッドの命令によりゼロに書き込むという過ちを犯したため。真実をゼロに伝えるべく、ゼロを探していた。「真実の扉」という言葉を多用する。

 

アンガー(塩田康平)

能力名:ゲーム(あるルールを設定し、相手に強制できるが、自分にもその条件が適用される)

使用武器:仕込み杖の一種。長い杖状で、振り回して攻撃するほか機関銃にもなる様子。

サッドネスを守る謎の人物。今作では過去などは明かされなかったが、本来であればTRANSを嫌うサッドネスとともに行動している。

 

サッドネス(星元裕月)

能力名:チェンジ(相手と自分の人格を入れ替える)

使用武器:三つ編みのような一本鞭

望まないTRANSだったため、自分の身体に嫌悪感を露わにする。

能力を使い、入れ替わった相手の身体を傷つけることで相手に傷を負わせる。

自分を守ってくれるアンガーと行動を共にするが、アンガー以外のTRANSは嫌悪しており、TRANSを狙って入れ替わって命を絶ち、絶命したあとに局部を切り取るという猟奇的な事件を立て続けに起こした。

 

【BLACK BLOOD】

ブラッド(西岡徳馬

能力名:不明、おそらく無し?

使用武器:金ピカの銃(ちょっと趣味が悪い感じのデザイン)

HELIXの能力者を擁するマフィアのゴッドファーザー。後継者と目していたカイの裏切りに遭う。カイにゼロを裏切って始末すれば命を保障するといいながら、カイを裏切り者として処断する。ゼロを利用するため、クライに命じてその能力で「カイを殺害したのはクライである」という偽の記憶を与えさせる。

復讐しようとしたゼロとそれを援護しに来たカイにうり二つの男・アガタによって倒される。

 

レスター(服部武雄

能力名:カラー(相手の感情の「色」で読み取る能力)

ブラッドの息子であるものの、後継者としては期待されていないため、父が倒されたときも慌ててかけつけるようなことはしなかった。父の死によってアンガー、サッドネスら離脱者は出たものの、ゼロの襲撃時に居合わせ傷を負ったリュウジンを助け、組織に引き入れる。

 

 

と、普通にキャラ紹介のようになってしまって考察というほどのものはありませんが、TRANSの特徴はわかったような気がします。

いわゆる性同一性障害などとは違って、心の性と身体の性の一致・不一致にはあまり意味が無く、その「人格」そのものは同一というところが重要になりそう。

それこそたとえで出てきたアンドロギヌスのように、女性だった人間が男性になることで擬似的な「完全な人間」を目指したり、目的を果たすための身体能力を得るために性別を変えたり……という現代とは少し違った理由なのが興味深いところ。

あとは「サッドネス」「アンガー」「クライ」という名前が七つの大罪やそこらへんに当てはまるものがあったんじゃないかなぁと思ったり。調べてみてもあんまり当てはまるのが無かったのですが、宗教の中ではよく出てくるワードなので今後のキャラによってはわかるかもしれません。

 

多少間違っている部分もあるかもしれませんが、今後のための記録になればと思います。

 

千秋楽まで無事に公演が行われるよう願って。

 

めちゃくちゃ面白かったので続編を心待ちにして。