Stellar Interlude

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【考察】ミュージカル『刀剣乱舞』-東京心覚-

こちらは前回の記事で書き切れなかった部分を載せたものです。

考察などと銘打ってはいますが、考察未満かもしれないので話半分に見てもらえる心の広い方のみお願いします。

専門家などではなくほんの少し歴史をかじった程度の1学生の書いているものなので、ネットで収集できる範囲内である程度の信憑性があるものを基準にしています。

また、ネタバレも含みますので、あしからずご了承ください。

 

はじめに

ここでは1部・ミュージカルの考察というかそれぞれの元ネタのようなものとその意味を少しだけ考えてみます。

観劇時には一切情報を入れていないので、見ただけの感想は先の記事で書いたとおりです。

考察すると感想も変わるように思うので、別に記事をあげました。

SNSなどで見かけた考察も参考にしつつ、自分なりに考えているので根拠が薄いかもしれませんがご容赦下さい。

用語や隠喩など

刀ミュのこれまでの公演でも出てきた概念や用語など。

もののべ

刀ミュ世界において刀剣男士、特に三日月宗近と通じた「ものに仕える」人間を指す。

表の歴史では史実通りに死を遂げるが、裏の歴史の中で生きながらえるなどの形で救いが与えられる。

以前の引用も一応。

刀剣男士の正体を知っている歴史上人物は「刀剣男士の協力者」であり、「もののべ」と呼ばれる、この世界における「三日月宗近」という「機能」と通じた存在である

【感想】ミュージカル『刀剣乱舞』〜葵咲本紀〜【大千秋楽LV】 - Stellar Interlude

葵咲本紀における信康(表の歴史では死→裏の歴史では吾平という農民としての余生を送る)など。

今作では三日月と言葉を交わし「友」となった将門は明言されなかったものの、怨霊とならないように、もののべ或いはもののべとして裏の歴史に生きることを提案されていた可能性もある。(が、どうやら乗らなかった様子?)

なお、人の姿のソハヤをソハヤノツルキという霊剣として認識していた様子がある天海については、あの能力なら素でわかっていてもおかしくないため、明言されない限りは判断出来ない。

また、こうした行為に三日月にとってのメリットがあるとすれば、非業の死を回避することで怨念や悪霊を生み出す機会を減らし、そうした負のエネルギーによって発生する歴史改変の機会を減らそうとしているとも考えられる。

原作ゲームの時間遡行軍の立ち絵が刀剣男士のポーズと似ているという話や、ミュ・ステ・アニメ活劇・映画などでは時間遡行軍に堕ちた刀剣男士を救い出すような描写(例:映画の倶利伽羅江、ミュの稲葉江など)があるため、怨念までは行かずとも、持ち主が非業の死を遂げることによって宿った恨みや哀しみが時間遡行軍を生み出すきっかけになるとも考えられる。

すなわち、三日月宗近は史実を守りながらもこうした怨念、言うなれば歴史修正主義者につけいられる「隙」が生まれる機会を無くし、歴史改変が起きる大本を断つことが出来るのかどうかを試みているともいえる。

三日月宗近

刀ミュ世界において、歴史修正主義者から正史を守るための「機能」であり、大典太曰く「呪い」を受けた刀。

別作品でいえば型月における「抑止力」に近い概念といえるが、三日月宗近は「アラヤの抑止力」とは異なり明確な意思を持つ、心を持つ存在であり、あくまで基準が「正史通りか否か」といういわば「歴史改変に対する抑止力」でしかないため、もののべのような裏技が出来るとも考えられる。

ミュ世界においては過程はともあれ、結果が同じであればいいという考えが主流になっている様子もある。

他の刀剣男士も歴史を守ることは本能的に備わっているというが、まだ明かされていない部分で三日月宗近にしかできないことがあるため、特別扱いされていると思われる。

線・境界・結界

コロナ禍の現代を意識した言葉。

人と人は勿論、劇場に来られる・来られない・行く・行かないという選択が生み出した境界なども含めて水心子は「結界は人の心の中にしか存在しない」と結論づけている。

明らかにコロナ禍を意識した作品であることや制作サイドのメッセージという印象が強いワードのため、今回限りという可能性もある。というか今作はこの言葉と関係ある史実を無理矢理くっつけたという感じがしないでもない。

 

その他気になったことをいくつか。

通りゃんせ

現代の場面で流れる信号機の音楽が「通りゃんせ」。

この曲自体にいろいろないわれがあるので気になるところ。

なお、2003年に出された通達を受けて、現在は「通りゃんせ」に限らずメロディのなる信号機は鳥のピヨピヨという音に変更されているとのこと。

何らかの暗喩だと思いますが、もしかしたら2003年以前の世界か、あるいは私たちの生きている正史の2003年がやってこない、すでに改変された別ルートの「現代」という可能性もある。

ストーリーについて

今回は水心子の記憶が混乱したことをきっかけに展開されるものの、オムニバス形式を取ったため意味不明と言われてしまったと考えられる。

今回の各場面を史実通りに並べてみると次のようになる、はず。

同じシーンが2回出てくることについては、これは原作ゲームで周回出来ることとも重なっていて、1回目の出陣・2回目の出陣というような違いに見えるため、便宜上1周目、2周目と表記する。

ここで1周目は水心子の記憶が曖昧、2周目はしっかり話を聞きに行っている様子。

それぞれ1周目は1周目で、2周目は2周目で繋がっているという前提のもと、1周目と2周目の時間軸は別物として扱っているが、見方を変えれば1周目の前半・後半の間に2周目が挟まっているという考え方も出来ないわけではないため、正しい流れは断定出来ない。

また、記憶を巡る物語でもあったため、1周目は三日月が見たか何らかの手段で得た記憶を水心子に記憶を与えて見せた景色、2周目はそれを元に自ら考え、動いた水心子自身が辿ったものという考え方も出来るかもしれない。

ラストシーンで三日月が8振りに語りかけていることや記憶を与えるというイベントがあったため、三日月が世界の一部となっているのだとしたら水心子の記憶に干渉することもおそらく可能。

平安時代平将門平将門の乱」終盤

1周目。

時間遡行軍に勝っているなどなかなかにやりたい放題。割と人間じゃない。

ちなみに部下たちからは「小次郎」と呼ばれていて、ミュではおそらく初めての馬実装となった模様。

このあと敗北シーンも描かれ、将門が怨霊となったことも示唆された。

今作の起点となるシーンであると同時に、劇中で「疫病神である将門の怨霊を封じる」ことは現代における「コロナウイルスを封じ込める」ということにも重なるため、将門はコロナウイルスなど災いの象徴であり、この災いがなければ今回の公演がなかったことを示唆しているのではないかとも思えてくる。

 

2周目。

死の間際、水心子に「新皇」を名乗った理由を聞かれて「愛しい女がいた」(ニュアンス)と答え、さらに三日月と「友」であったことを明かし、友である三日月から「いつか新皇を名乗った理由を聞きに来るものが居たら照れず臆せず答えてやって欲しい」と依頼されていたことを明かす。

室町時代後期:太田道灌江戸城築城」

1周目。

豊前が五月雨とともに江戸城築城の現場を訪れ、豊前太田道灌とともに石垣を運ぶなど交流を行う。

その上で、時間遡行軍によって暗殺を免れた太田道灌を「正史通り」にするため、刺し殺す豊前

「これが史実だからな」「知らないで殺したくなかった」ということから、豊前たちは暗殺から太田道灌を守るために時間遡行軍がやってくることを見越して見守っていたことがわかる。

 

2周目。

生前の太田道灌と話す場面。江戸城を建てた理由を水心子に問われて「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき」と答える道灌。

この歌についてはこちらのリンク参照。

crd.ndl.go.jp

「山吹」がキーワードになっているのもこの歌とその逸話が理由だと考えられる。

 

江戸時代:天海「将門の怨霊封じ」

1周目。

時間遡行軍に襲撃されるシーンと、将門の怨霊と戦うシーン。

最初は1人で戦っており、見守っていた三池組が関与した後は刀剣男士たちの正体を知っているのか素で見抜いているのかまではわからないが、彼らを将門を封印するための戦力として連れて行く。

 

2周目。

刀剣男士たちとともに怨霊を封印した後、江戸やその周辺の結界の理由について問われるものの、「涅槃まで持って行く」と答えて入寂(僧侶が亡くなること)する天海。

ソハヤの正体にも気づいている。

 

時間軸が同じ可能性も高いが、例え時間軸が異なっていても天海は同様の行動を取ったと考えられるため、検討の必要はあまりなさそう。

幕末:勝海舟江戸城無血開城

1周目。

西郷どん勝海舟の対話。江戸城無血開城を呼びかける。

2周目。

水心子が時間遡行軍に襲撃される元主・勝海舟を助ける。(水心子「いい刀だな!」←自画自賛

ここで勝海舟がすでに世界を見ていること、視野が広いことを学ぶことも「線」「境界線」「結界」を理解するために必要な出来事だった。

また、ここで勝海舟が生きていることによって江戸城無血開城が実行され、江戸が火の海になることを回避されたともいえる。

 

現代:現代の人々「新型コロナウイルス感染症の流行」

冒頭と終盤の場面。

ここで登場する砂や面の少女はこの時代に生きる人々やその思いを表していると考えられる。砂時計のように落ちてくる砂は時間の流れや不可逆的なもの、すなわち人の生死などとも考えられるが、長くなるので割愛。

制作側が言いたいことを詰め込むためのシーンと言ってしまえばそうなるが、2205年を舞台とした刀剣乱舞の世界だからこそ、現代が彼らにとっては過去になるため、出陣先として選ばれていることも、彼らがその先を知っていることも矛盾が生じない。

放棄された世界:状況不明

度々登場する巨大な満月のシーンは放棄された世界を示していた様子。

三日月が存在せず、満月しかない世界ともいえる。

桑名がアスファルトかわからないが何かを剥がして耕し、畑にしようというところや、モグラが居ることなどからは生命が途絶えたわけではなさそう。

ただ、文明が途絶え、何もなくなった世界という感じ。それはそれとしてこういうのエヴァで見た気がする。

村雲との会話で荒廃した世界でも山吹のような花は必要だと答える桑名江が意図するものがあるとすれば、どんなに荒れた世界(=現代であればコロナ禍の中)でも娯楽、美しいもの、人の心を癒やすものは必要だというメッセージのような印象も受ける。

三日月が最後に「できないことがある」としたのはこの三日月がない世界への干渉を指すと考えられる。

 

部隊編成について

今回の編成、ぱっと見よくわからないのでいったん整理します。

水心子政秀

新々刀の祖であり、集合体キャラ。江戸三作というように、まさに今回の舞台である江戸時代に生み出された刀であるため。

記憶の混濁についても彼が集合体であると同時に勝海舟という有名人の物語とも密接に関わっているという複雑な状況を鑑みれば妥当といえそう。

源清麿

水心子の相棒であるものの、水心子における勝海舟のような強い物語を持たないため、特に今回影響を受けなかったと考えられる。

水心子だけが影響を受けたことを強調する役割を担っているともいえる。

三池兄弟

高い霊力を持ち、疫病をはじめとする様々な災厄を祓う退魔の刀としても信仰の対象となった刀。劇中では将門を封印するため、メタ的にはコロナ禍におけるメッセンジャーとして説得力があるため選ばれたといえそう。

江4振り

豊前はパライソからのバトン役で、前作での反省や経験から新たに来た刀剣男士に実践を見せるOJTのトレーナー役でもある。モチーフとなった刀は4振りの中で唯一行方不明となっており、現存が確認出来ない。すなわち居場所がないことも特異な存在。

それ以外の3振りは今回が初出陣だったが、名前や来歴から雨、雲、大地に関わる刀でもあるため、桑名も取り上げる自然の循環の暗喩なのか。

また、江の中でも篭手切・豊前以外については歌合2019〜今作までの間に全員顕現シーンが描写されているため、鍛刀経由でやってきたことがわかる。

篭手切はゲーム内でもドロップでの入手が可能だが、豊前についてはイベントでの入手しか出来ないため、この審神者がどのようなルートで手に入れたのかが気になる。

今作では「もう少しかかる」としつつも「葵咲本紀」で登場した刀が稲葉江であることも明言されたため、後に実装されるとみて間違いなさそう。

最後に三日月宗近の記憶の一部を与えられ、「人と人ならざるものの架け橋となれ」という使命を託される。

豊前江の紹介文には「江とお化けは見たことがない」というものがあるため、鍛刀による顕現演出が行われている部分も含めて今後の公演では江の異質さについての言及がなされる可能性が高い。

篭手切筆頭に彼らが「アイドル」であることについても、そのモチーフの実在・非実在にかかわらず祈りの対象となる「偶像」をかけているとすれば納得出来る。

 

 

とりあえず今はここまで。

また荒削りなのでまた追記します。